Eucalyptusという名前は"eu"(よく)と"kalyptus"(つつまれている)の二つのギリシャ語からつけられました。
名前の通り、花芽は硬いキャップに包まれています、このフタがとれて中から花が咲きます。フタは花びらのなごりです。
花が終わった後、ガムナッツ(果実)の中の種は、風に吹かれて地上に落ちます。
そしてブッシュファイヤーという、森林火災により刺激された種から新しい命が誕生します。
ヨーロッパの人々がオーストラリア大陸に上陸した1,600年代以降、これまでに発見されてたユーカリの仲間は850種類余り。
同じユーカリでもそれぞれに豊かな個性を持っていて、使う目的により樹種が異なります。
かぐや建築用の木材、紙の原料のパルプ、医薬品、二酸化炭素削減のための植林、街路樹など幹から枝葉までの全てがいろいろな形で活用されています。
コアラの大好物はユーカリの葉です。特に新芽をよく食べます。
コアラが食べるユーカリはロブスタ、プンクタータ、カマルドレンシスといった約30種類に限られています。
ユーカリの葉には水分、脂質、糖分、タンニン、タンパク質、カルシウムなどの成分がバランスよく含まれていてコアラの完全栄養食といえます。
コアラは、高等動物としては珍しく、きわめて偏食性の高い動物です。
ササを主食にしているパンダでさえ、与えればリンゴを食べます。
このあまりに偏食なコアラに手を焼いている世界中のコアラ飼育担当者は、コアラがユーカリだけでなく、せめてリンゴやバナナを食べて欲しいと思っていることでしょう。
なぜコアラがユーカリだけ、しかも600種類以上あるユーカリの中でほんの数種類しか食べないのか。
これは大きな謎で、いまだに結論は出ていません。
※参考文献:「季刊 aromatopia 第11号」フレグランスジャーナル社発行
「ユーカリ葉」は日本薬局方第一版から第五版(1932年施行から1951年まで使用)に至るまで収載されたが、その後の薬局方からは削除されました。
過去には「ユーカリの葉」は浸剤、煎剤、散剤、チンキ剤、流エキス剤として胃腸カタル、膀胱疾患などに用いられていましたが、現在の日本では民間薬として一部で使用される以外は医療には用いられていません。
※参考文献:「季刊 aromatopia 第11号」フレグランスジャーナル社発行
※参考文献:「世界の名茶辞典」株式会社講談社発行
色々な種類があるユーカリですが、その花からはおいしくて良質な蜜が採れます。
特にイエローボックス、レッドガム、ブルーガム、アイアンバーク種などは独特の甘さがあり見事な琥珀色で栄養分にも優れています。
個性豊かなユーカリは大きく6種類に分類されています。
平らで滑らかな樹皮で年々剥がれるタイプの”GUMS”、薄いコルク状の樹皮の”BLOODWOODS”、ナイフで突き刺すことができないほど堅い樹皮を持つ”IRONBARKS”、長い繊維状の樹皮でオーストラリアの原住民がヒモとして利用していたという”STRINGY BARKS”、幹の上から下まで細かい溝ができる”BOXES”、更に”PEPPERMINTS”という繊維質のシートができるタイプがあります。
幹の色は白樺の様に白いものからパステル調グリーン、茶褐色など様々です。
また、ブルーガムの様に苗木の頃は四角い茎ですが、成長と共に角がとれて丸くなるユニークなタイプもあります。
最近は切り花用として日本でも栽培されている丸葉タイプのグーニーやアップルポックス。このタイプのユーカリは木の成長と共に長細い葉に変化します。
ユーカリの蕾がついた枝葉もフラワーアレンジメントに利用されています。
グーニーやブルーガムの幼葉は、白い光沢のあるベールがかかったような薄い緑色です。
レモンユーカリは小さい毛に覆われてザラザラしています。成長するとベールや毛がなくなり、つるっとした黄緑色や深緑色になります。
町のお花屋さんで売られているユーカリの多くは枝葉だけで、花を見かけることはまずありません。
私達が花を楽しむには植木として育てることです。
ユーカリは種類が多いため、花の形状や色も多彩で、白、クリーム色、黄色、ピンク、赤、オレンジなどがあります。
花の季節は1年を通していずれかが咲きます。
特に日本の初夏に咲く”フラワーガム”は暖かくて気候の良い場所に育ちます。
直径3cmほどの花がソフトボール大の房になって咲き誇り、大変美しいのが特徴です。
ユーカリは常緑の広葉樹のため、1年を通して緑を楽しむことができます。
二酸化炭素の吸収が多く、多量の酸素を放出し空気を浄化する効果があります。
大正時代に日本に紹介された頃は”有加利”という字が使われていました。
静岡市下川原南公園とその周辺の街路にはフラワーガム、ブルーガム、イエローガム、ローズガム、レモンユーカリの5種類が植えられています。
ただし、レモンユーカリやフラワーガムは寒さが厳しい土地では防寒対策が必要です。
ブッシュファイヤー(森林火災)は、オーストラリアの日常生活ではごく自然の現象と考えられています。何千平方キロメートルにもわたって自然林や林野が燃え続け、シドニー郊外や田舎では家屋が破壊されることもあります。この原因は、落雷などの自然現象、あるいは人間の不注意によることもあります。
枯れた枝葉や下草で林床が埋まっていれば、火は瞬く間に燃え広がってしまいます。特に風がある暑い夏の日は、ユーカリ林のキャノピー(林冠)に燃え移ると、猛烈な勢いで燃え拡がります。葉に含まれるユーカリオイルが熱で気化し、大気中の酸素と混じって起爆混合物が生じます。
これが森林で起こると木全体が火の玉になってしまうのです。
ところがユーカリは、数千度にもなる凄まじい火事でも枯死しません。小枝や葉は燃え尽きて幹の表面が炭のように真っ黒になっても、木そのものはまだ生きているのです。その証拠に2~3週間後には真っ黒な樹皮の下から新芽が出て若葉の束となり、やがて新しい枝が伸びてきます。1~2年もすればユーカリ林全域が緑に戻り、無惨な火災の痕跡は幹の黒色だけとなるのです。
こんなに素晴らしい生命力を持った木、それがユーカリなのです。
左/火事で燃えた樹皮の下から萌え出る新芽
右/木全体に伸び始めた枝と葉
広大なオーストラリア大陸に鉄道が敷かれたのは、今から約120年前の1880年代。シドニー~ブリスベン間の1000kmに及ぶ長い内陸路線は1888年に完成し、その後も100年間に渡って乗客用や貨物輸送に活躍してきました。大小の木橋の多くは、今日でも建設当時の強さを維持して健在です。
最近になってこのような古い木橋や建物が取り壊され、使われていた梁や橋の部材はオーストラリアの歴史的な顔として再利用されています。ユーカリの古材は外観が古びていても、その優れた木質や強度は変わらないからです。
静岡市の下川原南公園にある9mの古材ベンチ、そしてステージの一部に使われた古材の傷跡には、オーストラリアの人々のために活躍した鉄道橋の歴史が刻まれているのです。
これは、まさしく「木の遺産」と言えるでしょう。
オーストラリアに残る120年前の旧鉄道橋
ミントを強くしたような、くっきりとした爽やかな香りのブルーガム(globulus)やラジアタの葉や枝から採れるオイルには医薬品の原料になる有効成分が含まれています。
特に殺菌消炎作用に優れ、喉の痛みや咳止め、鼻炎、筋肉痛、肩こり、打ち身などに効くとされており、世界的に広く使われています。
また最近の研究では糞尿臭を抑える効果が高いということもわかりました(※)。アロマセラピー(芳香療法)にもよく用いられており、精神面への効果も期待できると言えます。
ユーカリの中でも、レモンユーカリ(citriodora)のオイルには優れた避蚊効果があり天然の防虫剤として役立ちます。ただし、いずれも長期間の使用や治療には、専門家の指導を受ける必要があります。扱い方を間違えると非常に危険ですのでご注意ください。
※静岡県工業技術研究所 地域産業技術部「悪臭に対する植物精油の消臭効果」
ブルーガムの幼葉/ユーカリ精油(エッセンシャルオイル)
「ユーカリ油」は1998年施行の日本薬局方第一版から収載されている非常に生命の長い医薬品であり、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ヨ-ロッパ共同国、中国など、世界の多くの国々の薬局方あるいはその他の公定書に収載されています。
※参考文献:「季刊 aromatopia 第11号」フレグランスジャーナル社発行
消臭力、防虫・防カビ・防ダニ作用、殺菌力、洗浄力のあるユーカリを活用して、室内のダニやカビ、病原菌を減らすように工夫すれば、呼吸器疾患や皮膚炎の回復や予防に役立ちます。
風邪の原因を一言で言えば「冷えと乾燥」です。
鼻腔内や咽喉、気管支などの呼吸粘膜が乾燥していると、ウィルスが付着しやすくなり、感染しやすくなります。
逆に呼吸器の粘膜が水分で潤っているとウイルスは粘膜に付着しにくく、感染しにくくなります。
また、東洋医学では風邪の原因は肺の冷えであるといわれています。
ユーカリの優れた特性(防虫・防カビ・防ダニ作用、殺菌力、洗浄力等)は、アトピー性皮膚炎や水虫の改善や二次感染防止にも役立てることが出来ます。
※参考文献:「季刊 aromatopia 第11号」フレグランスジャーナル社発行
ユーカリ油はオーストラリアの原住民が家庭薬として愛用していたものです。
風邪、熱病、ヘビの咬傷、赤痢、花粉症、神経痛、筋肉痛等々、万能薬として用いられていました。その中でも顕著なのが、呼吸器系に対する殺菌、去痰、鎮痙の各作用です。
ユーカリ油の揮発蒸気を吸入することは、咳、気管支、はいに対して防腐作用の働きをし、これは組織を癒すばかりか口喉や鼻、気管支などの粘膜の循環不良を防ぎ、汚染されるのを防ぎます。
※参考文献:「季刊 aromatopia 第11号」フレグランスジャーナル社発行
ユーカリには殺菌、刺激、消炎作用があるため、医薬品としても利用されています。
「ユーカリ油」は1998年施行の日本薬局方第一版から収載されている非常に生命の長い医薬品であり、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ヨ-ロッパ共同国、中国など、世界の多くの国々の薬局方あるいはその他の公定書に収載されています。
※参考文献:「季刊 aromatopia 第11号」フレグランスジャーナル社発行
ユーカリは、ほとんどが種から育つため、挿し木で増やすのは難しい植物です。
森林以外でユーカリの種の発芽を促すには、森林火災を疑似体験させなければいけません。
その為、種を火であぶったり、熱湯をかけて刺激を与えます。ユーカリは火と共に生きるユニークな植物なのです。
ユーカリは高さ6mの低木から100mもある高木までいろいろとありますが、使う目的によって伐採する時期が異なります。
例えばパルプ用は樹齢10~15年、木材用は80-120年以上、直径は1.5〜2.0m前後など。
ユーカリの花言葉は「思い出」です。
天然木でできたものは周囲の景観を損なわず、時間の経過と共に自然に馴染んでいきます。
また、人間にとって有害な紫外線を吸収したり、製品として使われている間は成長時に吸収した二酸化炭素をそのまま貯蔵し続けてくれる優れものです。そして木は他の素材にはない、やさしさとぬくもりを感じます。
エコウッド景観協同組合の木製品は、長年の風雨にも耐える優れたオーストラリア産のユーカリ材を使い、静岡の地場産業である"家具づくりの技"を活かして造った地場産品です。
850種類のユーカリのうち、日本で育つ樹種もいくつかあります。
ここでは、街で見つけたユーカリの木の場所を一覧でご紹介しています。
ぜひ、本物のユーカリの木をご覧ください。
あなたの街の「ユーカリの木」もご紹介ください。
お問い合わせフォームからご連絡をお願いします。(※一般公開されている場所に限ります)
施設名 | 住 所 | 樹 種 |
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エコウッド景観協同組合 ユーカリ展示場 |
静岡市葵区慈悲尾227-3 | シドニーブルーガム、フォレストレッドガム、ローズガム、アイアンバーク、ナローリーフ・アイアンバーク、レモンユーカリ、アップルボックス(丸葉ユーカリ)、ポポラス、ハートリーフユーカリ(ウェブステリア) |
静岡県庁東館前の堀上 | 静岡市葵区追手町9番6号 | タスマニアブルーガム(?) |
下川原南公園 | 静岡市駿河区下川原南241 | タスマニアブルーガム、フラワーガムレッド、フラワーガムピンク、フラワーガムオレンジ、イエローガム、レモンユーカリ、ローズガム |
浜久保公園 | 静岡市駿河区高松3387 | フラワーガムレッド、ブリットルガム、タスマニアブルーガム、フォレストレッドガム |
施設名 | 住 所 | 樹 種 |
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熱川バナナワニ園 | 静岡県賀茂郡東伊豆町熱川温泉 | フラワーガムレッド、フラワーガムオレンジ |